GEAR TRIBUTE / SPORTS / KENTA MAEDA
友だちに誘われた野球。
グラブと本からたどる、
マエケンの「続け方」。
少年時代の手入れの習慣から、海を渡った道具、そして仙台へ。勝ち星の向こうにある、小さな選択をたどる。
公開・情報確認:2026年9月29日|文・構成:Gear Tribute編集部
この記事にアフィリエイトリンクはありません。本人・球団・ブランドの公式記事ではありません。
前田健太を知る入口は、マウンドの上だけではない。使い込んだグラブを手入れする時間。力の抜き方を言葉にした一冊の本。最近の楽しみとして挙げたコーヒー。そうした身近なものから見ると、「マエケン」の歩みは少し違って見えてくる。
たくさんの記録を残してきた右腕も、最初から投手を目指して野球を始めたわけではなかった。まずは、その話から始めよう。
始まりは「友だちと遊びたい」だった
1988年4月11日、大阪府生まれ。本人のブログには、小学3年生の途中、幼なじみが土日に野球へ行って遊べなくなったことをきっかけに、自分も始めたとつづられている。大きな夢を宣言する前に、友だちのいる場所へ行ってみる。そんな入口だった。本人ブログ「前田 健太①」。
伊藤超短波のインタビューでは、初めは内野を守り、小学4年生から投手も兼ねたと振り返っている。水泳やサッカーにも親しんだ少年が、少しずつ自分の場所を見つけていった。本人インタビュー。
買い替える前に、手をかける
球活JPの本人インタビューには、中学時代、新しいグラブを買うには監督の許可が必要だったという話がある。そのため長く使えるよう、自分で丁寧に手入れをしていた。使いやすい形は、買った瞬間ではなく、時間をかけて育てるものだった。道具への思いを語った原文。
新品の名前より、手になじむ時間。
いま道具を選ぶ私たちにも、ここは身近だ。ブランドや色を選ぶ楽しさに加えて、使ったあとの状態を見て、手をかける楽しさもある。少しずつ自分の手になじむ過程まで含めて、グラブは一つの道具になる。
PL学園から広島へ。数字に残る積み重ね
PL学園から2006年高校生ドラフト1巡目で指名され、2007年に広島へ。NPBの一軍成績が始まる2008年は9勝。2010年には15勝、防御率2.21、174奪三振を記録し、勝利数・防御率・奪三振の3部門でタイトルを獲得した。NPB年度別成績/球団公式の経歴・タイトル。
広島時代、6年間の勝利数
一つのシーズンだけを切り取ると、大きな記録が目に入る。並べてみると、その翌年も、さらに翌年も、登板を積み重ねた時間が見えてくる。2010年と2015年には沢村賞も受賞している。
海を渡っても、手の中にはミズノ
2016年、ドジャースへ移った前田にとって、環境が変わっても続くものの一つが道具だった。ミズノは同年2月1日、ブランドアンバサダー契約の締結を発表。グラブやスパイクなどの使用に加え、商品開発への意見・助言も契約に含まれていた。ミズノ公式発表(PDF)。
選手とメーカーの関係には、完成した製品を選ぶだけでなく、使用感を伝える側面もある。手になじむ感覚を言葉にすることも、道具づくりの一部なのだ。
ここで紹介するのは2016年の契約発表です。現在の契約期間や全使用品を保証する一覧ではありません。
本の題名に、意外な言葉が並んでいる

『ゆとりの美学。』
前田健太 著/幻冬舎
2017年4月20日発売
「力を抜くこと、サボることを恐れない」という副題が、表紙に添えられている。勝負の世界の人が書いた本なのに、もっと頑張れ、とせかす言葉ではない。
出版社の紹介・試し読みへ出版社の紹介では、不測の事態に対応するための余白が主題として説明されている。表紙の大きな「ゆとり」という言葉と、副題の組み合わせは、力を出すことと余裕を残すことを対立させない視点を伝えている。
本を手に取るなら、成績をまねするためではなく、仕事や日々の予定に余白を残す考え方に触れる一冊として。これは本人の著書であり、本人が日常的に読む「愛読書」として紹介するものではない。
8人続いた三振。その場面をもう一度
2020年8月18日、前田はツインズの球団記録となる8者連続奪三振を記録した。MLB公式の当時の映像で、その節目を見ることができる。
8 人連続の奪三振
結果を知ったうえで映像を見返すと、最後の一球を待つ時間にも目が向く。ハイライトは記録の確認であると同時に、当時の球場へ戻る小さな窓にもなる。
グラブに込めた「焦らず進む」気持ち
2022年1月の使用グラブ発表会を取材したFull-Countは、黒と赤のグラブに、亀の甲羅を思わせるウェブの意匠が採用されたと伝えている。リハビリから始まる年に、急がず進むイメージを重ねたデザインだった。当時の記事と実物写真を見る。
同記事では、投げる際に左手の小指・薬指を握るため、その部分の握りやすさを重視していたことも紹介されている。グラブはボールを受ける道具であるだけでなく、投球の動きにも関わっていた。
2022年当時の用具についての報道です。上の3項目は編集部による読み解きで、現在のモデルの仕様図ではありません。実物写真はリンク先で確認できます。
道具に好きな色や意味を込めることは、プロでなくてもできる。名前を刺しゅうしたり、丁寧に手入れしたり。同じモデルを買う以外にも、憧れを自分の生活に持ち帰る方法はある。
仙台で始まる、新しい日常
2025年12月16日、楽天イーグルスの入団会見。前田は日本で再びプレーできる楽しみと、グラウンドで取り組む姿を見てもらいたいという思いを語った。過去の肩書だけでなく、これからの姿を見てほしい。その言葉は、この記事の冒頭に掲載した公式映像でも聞くことができる。球団公式の会見全文。
最近の楽しみは、コーヒー
2026年の球団選手名鑑では、最近ハマっていることにコーヒーを飲むこと、休日の過ごし方にショッピングを挙げている。自分の性格を表す言葉は「ポジティブ」。公式プロフィールの短い回答から、野球以外の輪郭も少し見えてくる。球団公式Q&A。
コーヒー好きという回答は確認できたが、使っているマグやコーヒーメーカー、豆の銘柄までは今回の資料では分からない。そこは想像で埋めず、自分ならどんな一杯を選ぶかを楽しみたい。
好きなおかずが、球場のお弁当にも
球団の選手プロデュースメニューには、前田の好物として紹介されたおかずを詰めた弁当や、リクエストを取り入れた串カツと肉うどんが掲載されている。観戦する日の食事から選手を知る、という楽しみ方もある。公式メニューの写真・販売情報を見る。販売日は来場前に確認したい。
物語から見える、マエケンの10の魅力
上記の記録と本人発信をもとにした、編集部の読み解きです。
- 身近な始まり友だちの誘いが、野球への入口になった。
- 投手だけではない原点少年時代には内野も守っていた。
- 道具を育てる感覚買い替えよりも手入れに時間をかけた。
- 続けて残した数字広島で積み上げたシーズンの記録。
- 環境を変える挑戦日本からアメリカ、再び日本へ。
- 用具への具体的な視点握りやすさを言葉にする細かさ。
- デザインも楽しむグラブの意匠に、その年の思いを重ねる。
- 余白を肯定する言葉著書の題名にある「ゆとり」。
- 日常の親しみやすさコーヒーや買い物という身近な楽しみ。
- 新しい舞台で見せる姿勢これからのプレーを見てほしいという会見の言葉。
本人契約ブランド|発表のある関係
ミズノ
2016年2月1日の公式発表でブランドアンバサダー契約を確認。用具使用と開発への助言などを含む。一般販売の「選手モデル」と本人向けの実使用品は、仕様が同一とは限らない。
契約の一次資料を読む(PDF)過去の契約発表として紹介しています。2026年の最新契約条件を示すものではありません。
編集部おすすめ|自分の暮らしへ持ち帰るなら
まずは、手元にあるグラブの手入れから
新しい一品を買う前に、汚れやひもの状態を確かめる。ブラシや布、保革用品は自分のグラブのメーカーが示す手入れ方法に合わせて選ぼう。
一冊の本から、余白のつくり方を考える
『ゆとりの美学。』は本人の考え方に触れる入口。出版社の試し読みで、自分が読みたいテーマと合うかを確かめてから手に取れる。
好きなカップで、観戦前の一杯を
コーヒーの銘柄を選手とそろえる必要はない。自分が使いやすいカップを選び、試合の前に落ち着く時間をつくる。それも道具を楽しむ一つの方法だ。
少年の頃、長く使うために手をかけたグラブ。海を渡ってから言葉にした、余裕を残す考え方。そして、新しい街でのコーヒー。前田健太の物語は、派手な記録のそばに、続けるための小さな工夫があることを教えてくれる。
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出典・編集について
各節のリンクから原資料を確認できます。本人ブログ、球活JP・伊藤超短波の本人インタビュー、NPB、ミズノ、幻冬舎、MLB、楽天イーグルスの公開資料を参照。2022年のグラブの詳細はFull-Countの取材記事に基づき、報道として区別しました。
この記事はキャリアと道具の背景を振り返る読み物です。2026年シーズンの最終成績や最新使用品一覧ではありません。書影は書名・装丁と主題の解説のために出典と区分を明示して掲載し、人物の映像は球団公式動画の埋め込みを利用しています。アフィリエイトリンクは未設置です。
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